理事長
公益社団法人高松青年会議所
第63代理事長 吉田 明央
スローガン
「Are You Ready!」
~恐れず新たな世界に飛び込もう~
基本方針
- 時代に適合した組織力の強化
- 価値観の共有に基づく運動の展開
- 新たな魅力を創り出すまちづくり
- 未来に希望を抱けるひとづくり
- アフターコロナを見据えた活動の推進
- つながりへの感謝と新しい絆づくり
理事長所信
はじめに
新型コロナウイルス感染拡大によりヒトとモノの流れが停滞し、世界中で経済的危機が訪れました。また、国家間の紛争により世界情勢は不安定になっています。その一方で、感染拡大前に広がりつつあったデジタル技術はさらなる加速度的発展を見せています。社会の常識は大きく変わり、時代は次のステージに進み始めました。今まさに誰もが想像しなかった新しい世界が開かれ、私たちはそこで直面する新たな問題への対応を迫られています。
しかし、誰もが想像してこなかった新たな問題に直面しながらも対応してきた団体が、私たち公益社団法人高松青年会議所(以下「JCI高松」といいます。)だったではありませんか。
JCI高松は、戦後荒廃した郷土の再建から運動を開始し、多くの苦難を乗り越えながら地域社会の発展を使命とし、明るい豊かな未来の実現のために尽力してまいりました。私たちの先輩方は、それぞれの時代に寄り添い、その内容こそ違えども次々と現れる社会の新たな問題に対し解決を試み、常に新しい世界に挑戦してきたのです。
私たちも先輩方の意志を引き継ぎ、英知と勇気と情熱をもって、この誰も想像しなかった新たな世界を開拓し、持続可能な地域を創りましょう。
組織にふさわしいデジタル技術を使いこなそう
新型コロナウイルス感染拡大は、社会経済に大きな打撃を与えた一方で、デジタル技術を利用したサービスの在り方を大きく前進させました。
その一方で、情報セキュリティの基礎的知識を身に付け、ICT機器等のデジタルツールを適切に使いこなす力は、年齢層によって大きなギャップが生じており、デジタル技術を十分に扱えていない企業も散見されます。
企業の業務効率の向上及び柔軟性のある働き方の実現、競争力の強化にデジタル技術は不可欠な手段です。 ただ、手段である以上、その利用の在り方は各企業の課題に応じて変えていかねば、十分な効果を発揮することはありません。しかしながら、デジタル技術の導入だけに満足している企業が多いのが現状です。デジタル技術の利用という手段が目的となってはいけないのです。
私たちは青年経済人として、デジタル技術の利用により業務効率の向上等を成し遂げた企業の取り組みをもとに、いかなる発想が自らの属する企業または自ら行う事業に応じたデジタル技術の活用につながるかを学ぶ必要があります。
また、ICTを含むデジタル技術の利用は、私たちの活動にも必要不可欠なものとなっています。活動の効率化はもとより、各事業の意味をメンバーに伝えるとともに、つながりを強め団体としてまとまるためにも、ICTを活用し組織力を強化しましょう。
地域から信頼される団体となろう
JCI高松は公益社団法人であるからこそ、地域から信頼される団体でなければなりません。そのためには財政面及び法令面の充実は必要不可欠です。特に、新型コロナウイルス感染拡大やライフスタイルの変更により社会情勢は大きく変動しており、JCI高松の定款等が現在の社会情勢に適合しているかについて再検討する時期が訪れています。
また、JCI高松の組織力をより強固なものにするという観点からも定款等の整備は重要です。なぜなら、定款等は総会の招集及びその議決方法、会員の権利義務といった組織の根幹に関する事項を定めており、組織の現状に即した定款等の見直しは、組織に柔軟性を持たせ、効率化を図ることにつながるからです。
そして、組織に即した定款等の在り方を学ぶことは、会員それぞれが属する企業や団体の組織力強化の方法を学ぶための一助となるでしょう。
地域から信頼される団体となるには、先に述べた財政面及び法令面の充実に加え、組織をブランディングしていくことが必要です。そのためには、私たちの行う運動が社会に与えるインパクトやメンバーの魅力をわかりやすく市民に発信をしていくことに加え、情報の受け手の目線を常に意識した広報を行わなければなりません。
そして、JCI高松が存在する限り情報の発信は続いていくのですから、情報発信の効果を日々検証し、効果的な情報発信の方法を継続的に模索していきましょう。
JCI高松は、毎月例会セレモニーを行ってきました。それは、様々な業種が集まる団体だからこそ、例会セレモニーを通して団体の方向性を統一し、組織力強化を行う必要があるからです。
新型コロナウイルス感染拡大により、例会の開催方法としてオンライン開催やハイブリッド開催等感染リスクを抑えるとともに、参加しやすい方法が検討され、導入されました。しかしながら、例会への参加率が大きく向上することはありませんでした。これまで行ってきた例会のオンライン開催について見直し、例会の開催方法を検討すべき時期が来ているのではないでしょうか。開催方法自体にデジタル技術を用いるのではなく、参加率の向上のためにデジタル技術を用いる等の新たな手段を見出す必要があります。
そのうえで私たちは、例会セレモニーの意味を再確認し、全てのメンバーで厳粛な例会を作り上げていきましょう。
新たな視点による魅力あふれるまちづくりをしよう
高松は今、人口減少と交流人口の減少という二つの問題に直面しています。
まず、人口減少ですが、高松市の人口は2015年をピークに減少し、今後も人口減少が続くと予想されています。人口の減少は生産年齢人口の減少に直結し、それに伴い地域の活力が低下してしまいます。そして、地域活力の低下は若者の県外転出いわゆる社会減の原因となり、人口減少と地域活力の低下が繰り返し引き起こされる負のループが生じてしまいます。
次に、交流人口の減少ですが、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年に香川県を訪れた観光客は約580万人と1988年以降最少となりました。この点、2023年にはJR高松駅直結の商業ビルが開業され、2024年にはサンポート高松に県立体育館が建設され、2025年には同地区に世界的な外資系ホテルが開業されることとなり、一時的な観光客の増加による交流人口の増加は見込まれます。しかしながら、滞在型観光を導く新しい地域の魅力がなければ、交流人口の増加は一過性のものとなってしまう恐れもあります。
そして、この二つの問題は関係人口の減少にもつながり、持続的な地域活力の低下を導きます。
人口の社会減を食い止め、継続的な交流人口の増加を図るには、魅力あふれる地域づくりとそれを支える若い人材の育成が不可欠です。私たちが住み暮らす地域は、美しい自然と海に囲まれ、それぞれの地元で代々引き継がれてきた芸術・伝統、世界に誇れる産業・食文化といった地域資源が沢山あります。また、高松城の天守閣復元について、資料不足を原因として文化庁の許可を得ることが困難とされていましたが、近年、新たな基準により高松城天守閣の復元的整備が認められる可能性が高まっています。高松城天守閣は高松市のシンボルとなりえ、その姿は地域資源の大きな増加となります。
しかし、豊かな地域資源が存在していても、それに気づき活用する機会がなければ意味がありません。この点、地域資源は同じ地域で長く住み暮らした者にとっては、もはや当たりまえの存在であり、その魅力に気づきにくいというケースがしばしば見られます。そこで、若い人材による新しい視点をもとに、高松城の天守閣を中心とする地域資源を生かした魅力的なプランを作成し、実際に当該プランを実施することで、魅力あふれる地域づくりの起点を創り、それを継続的に担うことのできる若い人材の育成を行うとともに、私たち自身も地域の魅力の再確認を行う必要があります。
地域全体で子どもの自己肯定感を育もう
日本の子どもの自己肯定感は諸外国に比べ低い状況にあり、その中でも香川県は子どもの自己肯定感が最も低い県の一つとなっています。自己肯定感は、非認知能力と呼ばれる数値化できない力、例えば物事をやり抜く力や他者とのコミュニケーション能力、思いやり等の自分の力で生きていくために大切な能力の土台となるものです。つまり、自己肯定感の低下は、非認知能力の向上の妨げとなり、子どもたちの健全な育成を阻害することにつながります。また、地域の未来を担う子どもたちの自己肯定感の低下は、地域の衰退につながります。なぜなら、自己を肯定し自分に自信を持つことが、将来の夢を描き自分の未来に可能性を見出すという将来展望につながるからです。自分の力を信じることができない、将来に希望をもって展望を抱けない子どもたちが多くあふれている地域に未来はありません。
文部科学省の調査によると、多くの体験活動を行った子どもの自己肯定感は、体験活動の少ない子どもと比して高い傾向にあります。そして、自己肯定感を高めるためには、子ども自身が自己決定を行ったうえで、他者との協働のなかで自分の役割を果たすとともに、子どもたちが集団又は個人の目標を達成した際には、周りの大人が認めることにより成功体験を感じさせるという取り組みをその発達段階に応じ行うことが必要です。しかしながら、学校教育だけでは教師以外の大人と関わり、多様な体験を積むことは困難です。
そこで、私たちのような多種多様な業種に携わるメンバーからなる団体が、地域の子どもたちへの体験活動をその発達段階に応じて行い、子どもたちの自己肯定感を高め、将来に希望を描くことのできる子どもたちを一人でも増やす必要があります。
アフターコロナを見据えた活動に備えよう
新型コロナウイルス感染拡大によって、リモートワークの導入が進みました。リモートワークは、ワークライフバランスやダイバーシティを追求する上で有効な働き方である以上、アフターコロナを迎えたとしても継続することが予想されます。もっとも、ワクチン接種率の向上、新薬の開発等により新型コロナウイルス感染拡大が収まれば対面業務の増加は避けることができないはずです。私たちは、青年経済人としてアフターコロナの時代に求められるビジネスマナーやプロトコルを確認することで、地域から必要とされるリーダーとならなければなりません。
また、新型コロナウイルス感染拡大以降、国外から日本への人の流れは激減し、MICEの開催も減少しました。もっとも、MICEの開催は、多くの人が集まるという直接的な経済効果はもちろんのこと、人の集積や交流から派生するビジネスやイノベーションの機会の創造、開催都市の競争力の強化といった付加的効果も大きく、新型コロナウイルス感染対策も進みつつある現状においては、MICEの誘致について改めて検討する時期が来ています。そして、2023年にはG7サミットが広島で開催され、サミット関係閣僚会合も各都市において開催されます。
そこで私たちは、新型コロナウイルス感染拡大後のMICEの開催方法と効果について学び、分析することで高松において開催可能なMICEの形を模索し、その誘致によるまちの活性化を進めていく必要があります。
仲間の輪を広げ全てのつながりに感謝しよう
JCI高松に所属することは、日本中そして世界中の青年会議所会員とつながることを意味します。高松以外の地域の会員との交流は、私たちが新たな世界を開拓するために必要な情報、知識そして価値観を身に付けるための重要な機会であり、積極的に活用する必要があります。また、他の地域に出向するメンバーがJCI高松にその知見を還元することで、JCI高松は成長することができるのですから、出向者に対する支援が重要になります。
そして、青年会議所では国内外で多くの諸大会が開催されます。それらに積極的に参加することにより他の地域の青年会議所の活動を知ることができ、更にはJCI高松の活動を見直す機会となる等多くの学びを得るとともに新しい友情の輪を広げることもできます。
また、地域外の会員だけでなく、シニアの先輩方とのつながりも重要です。なぜなら先輩方は、次々現れる時代の新しい問題に対応し続けてきた知見を有しており、そのような先輩方からの優れたアドバイスは私たちの行動の指針となるからです。
そして、私たちが地域に貢献できる団体であり続けるためには会員拡大が重要です。現在JCI高松の会員数は80名程度であり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比して30名近く減少しています。会員の減少は組織力の減退を意味するだけでなく、公益社団法人としての健全な財政運営にも悪影響を及ぼします。会員拡大を行うためには、メンバー一人ひとりが青年会議所の魅力を理解したうえで、全員で協力することが必要不可欠です。また、会員拡大に必要な知識の習得も重要となります。そこでメンバー全員が青年会議所の魅力を理解したうえで、会員拡大に成功した青年会議所の拡大方法について学び、それを参考とするJCI高松にあった会員拡大を実行していきましょう。
そして、私たちがJC活動を十分に行うことができるのは、それを支えてくれる家族の支えがあってこそです。常に家族との絆を思い、感謝の気持ちを持ち続けましょう。
最後に
今目の前に広がる世界は多くの問題を抱えるとともに、新しい技術が次々と生まれる先行きの見えないものかもしれません。一人の力では一歩踏み出すことさえ困難な世界でも、私たち一人ひとりがさらに成長したうえで心を一つにすれば、JCI高松に立ち向かえない問題はありません。むしろ、新たな問題に誰よりも早く挑戦し解決することで、地域に大きなインパクトを与える好機があります。組織力を強め、顕在化し続ける課題に挑戦し続けることを忘れず、新たな世界を開拓していきましょう。